顛末
先日、マクドナルドでドライブスルーを使った。
店舗の前がひどく長い行列になっていて、かなり待たされた。ドライブスルーの良くないところは途中で離脱できない場合があることである。自分は今回しびれを切らして、一度諦めようかとも思ったのだが、ちょうどレーンから離脱できない場所で長く待たされたため「これだけ待ったのだから最後まで行くしかない」という気分での利用だった。
店側も混雑の対応をしていて、できる限り緩和するためだろうか、マイクで注文をすると車を進め、まずブース1(と呼ぶことにする)で会計をし、次にさらに車を進めブース2で商品を受け取るという方法を採っていた(ように思えた)。
さて、いよいよ自分が会計をする番になり、車を前に進めてブース1に着いたわけだが、どういうわけか担当者が自分のほうを全く見ない。窓も開けず、全くこちらに関心がないようだった。
そこで自分は思った。「きっとブース2のところで会計と商品の受け渡しの両方をしてくれといういうことかな」と。そこで、さらに車を進めてブース2まで行ってしまった(おそらくこれが間違えていた)。ブース2の担当者は、いきなり商品を渡してきて「ありがとうございました!」と元気に声掛けし、自分を帰らそうとした。「いえお会計をまだしていないです」とこっちが話すと、担当者は「あれ?」と言う顔をして、さらに「チーズバーガーをご購入の方ですよね」と確認をしてきた。
だが、私が注文したのはチキンマックナゲットのハッピーセットであって、チーズバーガーでは無い。おそらく誰かお客さんを間違えていると思った。そこで、注文が違うこと、会計もまだしていないことを話すと、慌てたような素振りで「では先に代金を頂戴します」と言ってお金だけを受け取り、ブース1に向かって走っていった。1分ほど待っただろうか、担当者がお釣りを持って帰ってきて、さっきの商品の袋とは別の袋をざっと確認し「ハッピーセットですよね」と確認をして渡してくれた。事なきを得たように思った。「まぁこういうこともあるかな。なんだかごめんね。」というのが、その時の素直な感想だった。
しかし、その後、車を運転させながら、後部座席に座ってる娘にチキンマックナゲットを渡し、自分はセットのフライドポテトSのほうを食べようと、袋の中を覗き込むと、あとはドリンクしか残っておらず、あるべきはずのポテトがない。「入れ忘れている」と思った。ちょっとイレギュラーな対応になってしまったので、慌てていて担当のチェックが甘かったのかもしれない。引き返そうか。だがドライブスルーはかなり混んでいたので、今更もう一度あの列に戻る気にはなれなかった。このまま泣き寝入りするのもいかがなものかと思い、携帯電話をスピーカーモードにして運転をしながら、電話をしてみた。
対応
ドライブスルーで入れ忘れているものがあったことを話すと、店長が電話に出て、意外な提案をしてきた。なんと、あなたの自宅や勤務先など最寄りのマクドナルドの店からポテトを届けると言う。なるほど全国チェーンならそういうことも可能かもしれないが、全てにそのような対応をしていたら店長の身がもたないのではと、かえって心配になった。また自分たちは、お出かけに向かっていたので、これから自宅に帰るわけでも勤務先に行くわけでもなかった。その旨を伝えると、では全国で使えるクーポンを送るという。それではとお言葉に甘えることにして、住所を伝えて電話を切った。クレーム対応が徹底していると心底思った。
そしてクーポンが届いた
1周間ほどして約束通り「バリューセット特別ご招待券」が届いた。

ご丁寧な手紙が店長名で添えられている。ひとしきり感心した後「あれ?何を喜んでいるんだ?もとは相手の落ち度だよな」と思った。まるで手品のように騙されている。「クレームはお客様に会社を好きになってもらうチャンス」ということはよく言われる。そんなことは綺麗事だと自分は思ってきたが、やはりそういったことは起こりうるなと、大企業のお手本のようなクレーム対応を受けて強く思った。

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